短編集*君と紡ぐ、冬


おじさんの名前は、雷さん。

広場に遊びに来る子どもたちの中で、おじさんを知らない子どもは一人もいませんでした。


雷さんの家は、広場の隣です。
草野球で飛びすぎたボールが、雷さんちの大事な盆栽や壺を壊すので、雷さんはその度に中から飛び出して来ては

「ブワッカモーン!」

とカミナリを落とすのでした。

(・・・本当は、「バカモン」で済む話ではないような気もしますが)

そして雷さんはへそを曲げると、子どもたちの大事なボールを返してくれないことだってあるのです。

(・・・本当は、ボール1個で済む話でもないような気がしますが)

そうなるともう、遊びどころの話ではなくなってしまいます。
せっかく楽しく遊んでいたのに、一瞬でつまらなくなってしまいます。

意地悪で怖い雷さんが、子どもたちは大嫌いでした。