バゴーン!
特大雪玉が、思い切り窓ガラスにぶつかった音が、響きました。
辛うじて、ガラスは割れては、いないようです。
それでも、二人はすっかり恐怖におののいています。
なぜってそれは・・・
「ブワッカモーン!!!」
雪玉のぶつかった窓ガラスが乱暴に開き、中からおじさんが飛び出してきました。
おじさんのはげ上がった頭からは、怒りのあまり湯気が立ち上っています。
「朝から何騒いどる!!うるさい!」
健二くんの声よりも、明くんの声よりも、そして雪玉がガラス戸にあたった音よりも数段大きな声で、おじさんが一喝しました。
おじさんの声のほうが、よっぽどうるさい・・・
健二くんはそう思いましたが、そんなことを言ったらおじさんに殺されてしまいそうです。
健二くんは、一生懸命我慢しました。
そんなわけで、二人ができることは、たった一つしかありませんでした。
「逃げよう!」
おじさんの怒鳴り声が追いかけてきましたが、二人は雪に足を取られながらも必死に逃げていきました。



