「わあ」
朝起きて部屋のカーテンを開けた健二くんは、思わず声を上げました。
一夜のうちに、まちじゅうが白い雪の世界に変わっていたからです。
向かいの家の、いつもは赤い屋根の上にも。
その向こうの家の、松の木の上にも。
細い電線の上にまで。
雪は今も、全てのものの上に、どんどん降り積もっていきます。
全てが白いので、どこまでが町でどこからが空なのか、境界線がよく分からないくらいです。
太陽は出ていないのになぜかまぶしくて、音は聞こえないのになぜかにぎやかで、健二くんの眠気は一気に吹き飛びました。
「ママ、見て!初雪!」
健二くんは階段を一段飛ばしで下りていきました。
ぼやぼやしてはいられません。
早く集団登校の集合場所に行って、みんなと遊ばないと!