いつまでたっても先輩がそのままだから、恐る恐る「先輩」と口にしようとした。
「んっ…!?」
まるでそれを遮るように……荒々しく唇を重ねる。
今までだって、あった。
こんなこと…よくあった。
だけど不思議と、いやじゃなかったんだ。
なのに……。
「いっ……や!!」
…なのに……あたし、先輩を拒んでしまった。
「あ……!?」
自分で自分が信じられない。
驚いて自分の両手を見つめる。
「………しばらく、来ない」
「!! 待っ…」
……怒らなかった。
怒りもしなかった。
一度もあたしの目を見ずに、去っていってしまう。
なんだかこのまま…先輩がどっか遠くに行っちゃう気がして。
あたしの側にいてくれなくなる気がして。
とても……怖かった。

