――八月上旬。

とある吉日、待ち合わせをしているあたしは小走りにその場所へ向かっていた。

待ち合わせ時刻五分前!


キキーーッ


…と音がしそうなほどの勢いで足を止める。

そこには。


「……なんて素敵…」


じいぃぃーん…。感動。


待ち合わせ時刻前に着いても、当たり前のような顔して待ってる人がいない!!

なんて素敵なの!

自分が遅刻しまくった気にならないわっ。


「なーに一人でカンゲキしてんのよー」


「どうせあれよ。先輩とのラブラブ話でも思い出してたんじゃない?」


「み、美紅ちゃん…杏子」


杏子それ…どういう意味?



…はい。そうですね。

お察しの通り。

約束していた遠出の日です…♪


駅前集合って言われてルンルンで来たわけです。


「杏子違うよ! あのね?」


そういえば杏子にも言ってなかったなこれ。

先輩不思議なんだよ? と、これまでの遅刻気分話を教えてあげた。