数時間後僕はまた

あのバス停に降り立った

兄と二人で



兄は全く拒絶しなかった

僕が驚くほど

僕のしどろもどろで要領を得ない

めちゃくちゃな話を

静かに

発作も起こさず聞いていた

僕は兄に土下座して

携帯を見たことを謝罪した

兄は僕の頭に手を乗せ

ひとこと…いいよ…と言った

僕は泣きそうになりながら

来て

と兄に懇願した

うん…行こう

兄はゆっくりそう言った



僕たちはほとんど話すことなく

電車を乗り継いだ

兄は外の音が聞こえないように

ラフマニノフで耳栓をして

目を閉じて座席に座っていた

僕は乗り継ぎを二回兄に知らせ

そしてバスに乗った

バスのシートに座ると

兄が僕にふっともたれかかった

「また…来たなんて」

兄が少し虚ろに呟く

兄はめまいを起こしかけていた

兄の緊張が僕に伝わってきて

それでも僕は兄の腕を握り締め

耳もとで言った

「運命だよ…僕も逆らえない」

それを聞いて兄は少し微笑んだ



病院の白い建物が

再び見えてきた