「さて…と」

翌日の休み時間

ヤツが僕の席にやってきて言った

「そろそろユニット名を決めないと

なあ」

「お前の天才的センスで決めたら」

「いや…みんなで決めよう」

珍しく殊勝な発言

「思い浮かばないんだろ?」

「いや…これは団結力のためだ」

ヤツは今思いついたような顔で

僕の方をくるっと向いた

「一人ひとつづつ単語を持ち寄る

んで…それを全部使ってバンド名に

する!」

4人分は長すぎないか?

「その中から良いのを決めるんじゃ

なくて?」

「この際全部使う…寿限無みたいに

なっ!」






その日の部活で

ヤツはあとのメンバーに言い渡した

「…というわけで一人ひとつ考えて

来てくれ…日本語でも英語でもスワ

ヒリ語でも構わないからさ」

ナヲさんがフイた

「本気ですか先輩?」

「本気です」

「こいつは冗談と本気の区別ないか

ら…プロファイルしといて」

と女子先輩が説明を加えた

これもなんか「賭け」だな…

僕は女子の良識に賭けることにした

「んでさ…みんなそれで良いの?」

僕はメンバーに確認した

「だって…言い出したら聞かないじ

ゃん…こいつ」

「よし!わかってくれてますよ!」

「いや…それ諦めてるっていうの」

この二人漫才でもすればいいのに

と先輩とヤツの掛け合いを見て

僕は密かに思うのだった