兄が帰って来たのと時を同じくして

パンク野郎とのユニットの

デモテープ作りが進行していた

僕たちはそこで顧問の

異常なマニアックさをかいま見る

ことになった





「な?すげーだろ」

パンク野郎がニコニコしながら

顧問の持ち込んだMacのノートPCを

覗きこんでいる

「先生…なんでこんなことに?」

僕は不用意に聞いた

「話すと…長いぞ」

「かいつまんで…は?」

「この件に関してそういうモードは

一切ない」

言い切った…黙っていよう

「とりあえず試しに一発取りしてみ

るか」

顧問は指示を出して

僕たちはそれぞれ配置に着いた

「まあ練習だから…どれだけヒドイ

か聴いてみるってことで」





ベースは3年生の例の女子の先輩が

立候補してくれた

ドラムは…なんと新入生だった

しかも女子の…ハーフの…パンダ

いや目の周りが黒いんじゃなくて

体型が…パンダ

しかもそのドラムは

凄まじい上手さだったのだ