「こんな…痛くされて…興奮して」

兄はすぐにその下の腕の付け根を

続けざまに噛みしめた

「ううっ…!」

「また悶えて…」

兄の声は恍惚としていた

それほど僕の身体は

嗜虐に敏感に反応した

腕の付け根の歯形が真っ赤に残った

「俺の…印…」

兄が呟く

「欲しい…欲しいんだ…お前が…

お前が欲しい…俺だけのもの…

俺だけの…」

うわ言のように口走りながら

兄が噛み痕に口づける

何度も何度も

張り裂けそうな快感に

僕の身体がまた快楽の飛沫を

噴き上げた

「んーっ!んーっ!」

もうすぐ口輪も役に立たなくなる

「これ以上…マズい」

兄が我に返ったように言うと

僕から急に身体を離した

手錠と口輪が外され

僕はたまらず兄にすがりついた

「感じ過ぎて…死にそう」

「痛かったか…?」

「痛くて…感じて…いった」





それから長いこと

僕らは抱きあっていた

僕たちが互いに互いを捧げた日から

何年も経った今日のこの夜

今僕たちはようやくそれを

互いに受けとる






「ねぇ…なんで走ったの?」

「…嫉妬が治るかな…と思って」