翌日はあの嵐から一転して

ゴールデンウィークらしく晴れ

青空が広がっていた

僕は心が崩壊したまま朝を迎えた

何から何まで世界が違って見えた

僕の居場所は何処にもない

誰の期待にも応えられない

いつもなら休みの解放感で

少しは楽しいはずの連休も

僕にはその意味すら

わからなくなるほどの喪失感だった

世界が裏返ったような

取り返しのつかない空虚が

僕を支配していた

それはいままでのどの感覚とも

違っていた

この虚無感

なんと言えばいいんだろう

兄が彼の復讐に巻き込まれた時とも

僕が兄を犯してしまった

あの拭い難い罪悪感とも

兄に手離され

手首を切り裂いた絶望感とも

あの人に復讐の標的にされ

凌辱され続けた悪夢とも

その彼と愛し合い別れた悲しみとも

まったく違っていた

いままでは僕の苦しみは

苦しみだがまだ地上で行われていた

だが今そのステージ自体が

消えてしまった

なすすべのない喪失感




僕は同性愛者だ

戻ることも変わることも

できない

僕はいままで

女の子を好きになったことがない

初恋は兄

それ以来兄しか見てない

正確には見ていなかった

彼に惹かれるまでは