部室で僕は

パンク野郎と共に

ある重大な決意をしようとしていた

それはヤツの書いた一枚の詞から

始まった

「オリジナル…やらねーか?」

ヤツは本気だった

「お前のギターがなけりゃこんな

無謀な思いつきはしない」

有り難くも不安にさせる

この褒め言葉…受けていいのか?

「オレのスーパーボーカルは鉄板だ

詞は詰めれば完璧…だけど」

「だけど?」

「あ~!作曲がなぁーっ!」

「んで…僕に作曲しろってか」

「そうそう!」

野郎は口説き落としにかかった

「お前さ…練習んときフレーズ引く

だろ…あれ良いよ」

「他人のフレーズだろが!」

「オリジナルでやるじゃんか!」

「知らねーよ…適当だし」

「あれでいいだよ~お代官さま~

曲を書いて下せぇ~」

妙なへりくだり方…逆効果だし

「詞はこれだ…これに切ねぇメロの

パンクをのせる…全米が泣け!」

「それは素敵な妄想…病院が来い」

「まあ…見てよ」

自信があるのかないのか

僕はとても汚い字で書かれた

ルーズリーフを手渡された

それにはこんな詞が書かれていた



 君にこの愛をあげる
 誰にもわからないように
 君に愛の言葉を告げる
 君だけに届くように…



それを見て僕はドキッとした

これ…ヤツの秘密じゃ…?

直感的に感じたそれは

間違いではなかった

僕はその詞の続きを

読まずにはいられなかった