「…母さん…知ってるの…?」
そう
僕はこの瞬間に賭けた
その言葉に
母の顔面は蒼白になった
「…な…何を…なに…を?」
狼狽える母に僕は畳み掛けた
「知ってるんだね…兄貴のことも」
諦めと絶望を突き破って
何かが僕をつき動かした
僕はじっと天井を見つめながら
母に言った
「…僕は…知ってるよ…あの人が
何をしたか」
母が息を飲む音が聞こえた
僕は続けた
「母さん…話してよ」
僕の声は緊張で震えていた
「僕は…兄貴を救うって約束した」
全ての言葉が一か八かの賭けだった
兄との秘密を未来を…
僕は有り金をすべて賭けた
絶体絶命の賭博師みたいに…
だが母は兄という僕の言葉を聞いて
自分の罪悪感の限界を
おそらく…越えた
「そ…それ…は…言えないの」
母の声も震えていた
「言ったら…私が…耐えられない」
僕はそれを聞いて
そのまま爆発した