その時僕の背後から

いきなり彼が僕を抱き締めた

抱き締めた…と思った

だが次の瞬間

彼は布の様なもので僕の口を塞ぎ

物凄い力で僕を後ろから拘束した

余りに突然のことに

僕は抵抗する間もなく

彼に羽交い締めになっていた

「君が覗くのをやめた後…兄さん

には眠ってもらった」

僕は身体から力が抜けるのを感じた

「んんんん!…ん…んん」

「…薬でよく寝てる…君が騒いでも

起きない…バスルームで休んでる」

僕が窓を覗いていたのが

彼にはわかっていた…

わかっていて気づかない振りをして

僕を油断させて

すぐに薬は効いてきた

これは…兄があの時やられた薬と

…同…じ?

もう僕の身体は自分の意志では

動かせないほど麻痺していた

意識だけが残されていたが

それも少し鈍かった

「これで君に私の話をゆっくり

聞いて貰える」

僕の身体はほとんど何も

反応できなかった

ただ恐怖と後悔だけがあった

男は淡々とさっきまで兄の寝ていた

ベッドに僕を横たえた

彼は僕の服を次々と手早く

機械的に脱がしていった

そして兄と同じように

頭の上で両手に手錠を掛けた

僕の身体は足を除いて

さっきの兄と同じように

ベッドに磔になっていた