車が止まった場所で、私は首を傾げた。



そこは、純一郎さんの自宅マンションの駐車場。

何度か仕事の資料を届けたり、一緒に外回りをしていて私だけ会社に戻る時に送ったりしてたから、入口までは来た事がある。



忘れ物でも取りに寄ったのかな?

私が疑問に思っていると。



「降りて」

えっ?

「忘れ物を取りに来たんじゃないんですか?」

「違うよ……行ったら説明するから」



そう言われ、私は素直に車から降りて、純一郎さんの後ろをついて行った。



「入って」

自分の家のドアを開けると、純一郎さんはそう一言だけ言い残して、すぐに奥へ入って行った。



えっ、あの、どうして?

私は理由が分からず、入口で固まっていた。



仕事……なんだよね?

だったら、なんで自宅?

私が自分の気持ちに気が付いたから……意識し過ぎているだけ?



1人暮しの男性の家なんて初めてで、緊張してきた。