「ちっょと、純一郎! 話があるから、こっち来なさい!」

「後で電話するよ」

「ダメ、すぐ終わるから、今」



ママさんがそう言うと、ピタッと立ち止まり、純一郎さんはポケットから車のキーを取り出すと、私に渡した。



「先に乗ってて」

「はい」



私の返事を聞いて、純一郎さんは引き返した。



私が先に行きかけていた時。



「えっ?」

純一郎さんの声がして、思わず振り返った。



すると、ママさんが内緒話をするような感じで、純一郎さんの耳元で何か話していて、純一郎さんは驚いた表情でこっちを見ていた。