ドキン!

鼓動が高鳴った。



今まで見た事が無い、柔らかい慈しむような微笑みをしている純さん。



ドキンドキンドキン……

いつもより、鼓動が速い理由は……もう、誤魔化せない。





私、この人が……好き。





そう自覚した瞬間。

きっと、自分の心の奥に隠しておいた『パンドラの箱』の蓋を開けたのは、自分。

『災い』や『不幸』が箱から出た後、それ以上辛い事が起きるのが怖くて、蓋をしてしまっていた。

本当に、その箱の中には『希望』が残っていたの?



「純さん」

「ん?」

「私の話をしてもいいですか?」

「ああ」



純さんは嬉しそうに笑ってくれた。



何から話そう。

いざ『話す』と決めたら、何を話していいか頭の中が混乱し始めた。