「さぁ、着いた。ここ」

「えっ? ここ?」



純さんが車を停めたのは、夜はネオンが煌く繁華街の駐車場。

ほとんどがビルだったけど、その中でも珍しく木造家屋にスナックの看板が出ている建物の前で、純さんは立ち止まり親指を立ててそこを指差した。



えっ、昼間から『スナック』って……意味が分からない。

もしかしたら、この土地の測量をする依頼でもあったのかな?



私が不思議に思いながら周辺をキョロキョロしていると……。



「ママ~、居る~?」



えっ?

夜しか開いていないと思っていたのに、普通に入口のドアを開けて、純さんが中へ声を掛けた。



なんかすごく砕けた言い方。

依頼主の方じゃないの?



「風花、おいで」

純さんが手招きをしている。



あっ。

中に入って行った純さんの後を、慌てて追いかけて中に入った。