「じゃぁな、風花。仕事、頑張れよ?」

「うん。ありがとう」

私の返事を聞くと、嬉しそうに笑ってお父さんは去って行った。



思わず、私はその後ろ姿を見つめた。

祖父母と一緒に暮らすと決めた時、何度も振り返りながら去って行った淋しそうなお父さんの背中を思い出し、胸が苦しくなる。



「風花?」

呼ばれて、ハッとした。



そうだ、純さんが一緒だったんだ!

思い出して純さんを見ると、ちょっと難しい顔をして私を見ていた。



あっ……説明しないと……。

でも、何を何処まで話したらいいの?



~ ♪ ~ ♪ ~ ♪ ~

私が戸惑っていると、純さんの携帯が鳴った。



「もしもし、加瀬です」

純さんは私から視線をそらさず、ポケットから携帯を取り出し話し始めた。