「弓兵、一斉射撃! 戦車隊前へ! 飛行兵は援護せよ!」 


 敵の歩兵隊に向かって、女神は弓兵をと命を下します。


 敵も手を打ち、歩兵を一旦引っ込め、楯の防壁を築き、矢を尽くさんとして射てきます。


 が、戦車隊の蹄が敵陣を打ち砕き、女神はなおも中央から采配を振ります。


 翼持つ飛行兵は両翼から敵陣に大岩を落としました。


 敵は弓矢によって抵抗しました。


 そのとき少年は女神の楯となって流れ矢から彼女を救い、多くの傷を負いました。


『ああ、こんなにもボロボロになって……こんな闘いのために……』


 女神の涙は、兜の下。


 間近にいた少年の他には、だれにも気付かれませんでした。


「長槍隊前へ! ……しっかりなさい! 死んではなりませんよ」


 敵の騎馬隊はそれは恐ろしいものでした。


 一騎につき長槍複数でかからねばなりません。


 女神は冷徹に采配を振るい、哀しみに満ちた瞳で、闘いを続けました。


 お互いに兵士の多くが討たれ、多くが死にました。


 それでもまだ、戦は終わりを見せませんでした。


 闘いは長く続き、神々は地上の覇権を分けました。