肉の裂ける感覚。 でも、害虫のじゃない。 男の腕の肉が裂ける感覚。 男がかばって 害虫をほんの少し遠くへ突き飛ばしたからだ。 「何で邪魔するの?」 問う。 男は笑って言う。 「あいつの、真樋の彼女からだよ。」 どくん。 無いはずの心臓が跳ねた気がした。