鬼ごっこ~歪む恋心の行く末~【fin】


「だからね、」

黒百合ちゃんは
包丁を前に構えて、

「貴方の隣にいつもいるあの害虫を」

「殺さなきゃ。」

さぞ憎そうに、

笑う。笑う。笑う。

「この包丁で滅多刺しにして。」

「殺さなきゃ。」

俺は戦慄する。

彼女の言う、

【俺の隣にいつもいる害虫】

とは、
きっと、
咲柚のことだからだ。

彼女はきっと嫉妬しているのだろう。

咲柚を殺して
俺を独り占めにしないと
おさまらないくらいに深く、深く。