鬼ごっこ~歪む恋心の行く末~【fin】


黒百合ちゃんは、
愛の言葉をささやく。

不釣り合いな歪んだ顔で。

「でもね、」

「あたし、死んじゃったの。」

「殺されちゃったの。」

途切れ途切れに話す黒百合ちゃん。

「あの女達に。」

「でもね、平気なの」

「貴方に触れるためなら、」

何処からか取り出した大きな包丁を
目の前に掲げる黒百合ちゃん。

「あのね、」

「あたし、不細工だから、」

「綺麗な子の体に
 乗り移らないといけないの。」

包丁に酔いしれるように。

「乗っ取らないといけないの。」

包丁に僕の顔を映して、

「奪わないといけないの。」

やっぱり君は笑う。