「じゅうっ♪」

そして彼女はまた笑う。

「さあ、始めようか?」

怖いほどに楽しそうに笑う。

「黒百合ちゃんっ!」

止めるために、
俺は彼女の名前を呼ぶ。

中学の時に
一度だけ呼んだ気がする彼女の名前。

彼女は笑う。

嬉しそうに。

「覚えてくれていたんだ?
 …嬉しいっ。」

彼女は笑う。

嬉しそうに。

歪んだ微笑みで。