「はあ、やってやるから、
そう機嫌悪くすんなって。」
頬を膨らませてむくれる真唯に
俺がなだめるように言う。
「本当っ!?」
ほんの数秒前とは打って変わって
目をキラキラさせだした真唯。
なんか嫌な予感。
「まずね、
鬼ごっこの由来なんだけれど、」
由来?
出来た理由なんてあるのか?
ほのかな疑問。
そして不意に低くなる真唯の声音。
「古からの遊びって、
呪いの力を持っているものが多いんだって。」
彼女からは
発せられたことのないような声。
「そのひとつの
鬼ごっこって元々、」
そう、
中学の卒業式の日に
死んだ彼女を彷彿させるような声。
「死者が生者を追いかけ、
生贄を定める儀式なんだって。」
嫌な予感は的中した。
もっと深刻な意味で。



