この声が枯れるまで


最近のパパは、
よくこんな悲しい背中を見せる。
パパは何を考えているのかな…

私は部屋に戻り、今日友達になった、ゆかとタクミ君にメールをした。

《タクミ君?百合だけど、やっぱり知り合いだって☆》

数分後、大好きな歌手の着うたが流れる。
この着うたはメールの音だ。


《やっぱりな!!俺の親父も言ってた!!てか会いたいって言ってた☆》


私はタクミ君から来たメールの返事をするため、指を軽やかに動かしていく。

《じゃあ今度会わせて欲しいな♪》


このメールの返事は《いいよ★》だった。


パパ?
私は、パパの過去を知ってはいけないの?

パパは…
誰を愛しているの?



―翌日…

今日も変な夢を見た。
この前見た夢と同じ夢。同じ所で終わってしまう。
先が知りたいのに、進んでくれない。
私はいつも通り、バス停に向かう。


『百合、おはよ!』


未紗が先にバス停にいた。

『未紗おはよ~』

私は暗い表情をして未紗に挨拶をする。

『どうしたの?元気ないじゃん?』

そんな私の変化にすぐ気付く未紗。
未紗の優しい言葉が身にしみる。


『パパ…が…元気なくて…』



『本当に百合はパパが好きだよね!でも百合のパパかっこいいから羨ましいよ!』



『でしょ?』


小さい頃から、みんなにパパの事をかっこいいって言われると嬉しくなる。
今でもそう。
だから自慢なのだ。



『そういえば未紗一目惚れした子どうなったの?』

バスに揺られながら、私たちは会話に華を咲かせる。


『同じクラスだったよ!無理かもしれないけど頑張るね!!』


私はゆかの恋と同時に、未紗の恋も応援することに決めた。

バスは目的地へと辿り着く…