この声が枯れるまで


──…そして木曜日、

僕は歩と約束した、
《いつものとこ》にいた。

《いつものとこ》とは、僕達の街の小さな居酒屋の事だ。

歩とは会う度ここへと来る。
小汚い店が落ち着くんだ。
僕は入り口の前で歩を待つ。


すると、スーツを上手く着こなした若者が居酒屋へと向かってきた。
空は薄暗くて、誰だか分からない。


『優?』


『歩!』


その正体は歩だった。

『久しぶり~!』


『本当に久しぶりだな!てか歩、お前がスーツ着てるとホストみてぇ!』


『うるせぇって!優、またかっこよくなったな~。羨ましいわ!』


『は?ありえね~。まぁ中入ろうぜ?』



『そうだな~』


僕と歩はのれんをくぐり、店へと入っていった。


『乾杯~!』


手にはビール。
僕達の飲み会が開始した。


『歩~お前本当に弁護士になるわけ?』


『絶対なるから、今勉強してんだよ!』


『お前が弁護士とかウケるわ!』



歩と話していると、高校時代に戻った気がする。