この声が枯れるまで


『出版社…フォトフレンズ…』



『そう、私ここで働いてるの。まだまだ見習いだけどね?夕方の5時に終わるから!』



出版社フォトフレンズは、僕がプロカメラマンになるまでお世話になった会社だ。
フリーカメラマンになってからは、あまり関係を持たなくなった。
でもすごく感謝している出版社だった。


そこに彼女が働いている──…

また僕の鼓動が速くなった。


『あっ俺…名刺持ってないや…』


『気にしないで!私が勝手にした事だから。またあなたに会いたいなって。何か…心配なんだよね…とにかく!よろしくね!』


『ありがと…うん、暇な時行くよ。俺も会いたいしさ…』



これを言ったのは嘘ではない。
彼女に会いたいのは、嘘ではない。
本当に会いたいから。

でも僕の心には百合が眠っている。

僕はどうしたらいい?


誰か教えてよ。


僕は今いけない事をしている。


百合と笑。



また僕の優柔不断の性格が、自分を苦しめる。