『はぁ、はぁ、 はぁ…』 再び座り込んだ悟は、全身汗だくになっていた。 体力が尽きるまで蹴り続けた右足の甲は、はちきれそうなほど腫れ上がって、所々赤い点の混じった紫色になっている。 完全に息の上がった悟は、呼吸をするのが精一杯で、頭の中は真っ白になっている。 何も考えられない。 先程までの怒りもすっかり消え去り、足の痛みも殆ど感じなかった。 むしろ、息が苦しいだけの自分には、微かに感じる足の痛みが、心地良くも思えた。