誰か…なつき… 言えない、そんな過去 言いたくない、嫌われたくない 「俺は…」 いつもの仏頂面からは 想像できないぐらい優しい声 私を包む優しい体温と匂い 「海の笑顔見たい」 胸の奥が熱くなった 「何言われたか知らねえ だけど、海の笑顔で…」 最後がぼそっと言ったから わからなかった 「空、なんて?」 「なんもね」 見上げると空の笑顔があった。 こんなふうに笑うんだ 優しい、優しい笑顔 「ねえ空、」 「ん?」 「笑いたい」 生まれてはじめて 私は誰かのために笑いたいと思った