事務所の空気がピーンと張り詰めている。
社長室の扉をノックする重さんの顔が強張ってる。
「失礼します。」
頭を深々と下げっぱなしの重さん。
俺……
どうしたら……
「社長……俺……本当にすいません。 」
どんなに考えても、頭に浮かんでくる言葉なんてなくて……
目の前の社長の威圧感に……身震いを憶える。
「ふたりとも座れや。 」
「はっはい。」
俺と重さんの体重は社長室の高級ソファーに預けられた。
俺、このソファー契約の時以来だな……
社長と顔合わすのもそんなにないもんな……
「晶羅、何で呼ばれたかはもう聞いてるな。」
「はい。」
「明日発売になる雑誌にお前のスクープがドンと載るらしいわ…… 相手のお嬢さんとの事は重から報告うけてる。いいお嬢さんらしいな……」
「はい。俺本気なんです!! 」
「本気か……晶羅お前仕事と彼女選べと言ったらどうするよ。」
「俺は…… 」
心愛だって、彼女だって言い切ると思っていた。
でもいざとなったら言葉が声にはならなくて……
割り切れねぇ俺がいる。
俺……
こんなに仕事好きだったんだ。


