「伸樹……どういうこと……」
目の前に立ちつくす利香の顔は青ざめてて……
「利香、ちがうの!!」
慌てて席を立って利香に駆け寄ろうと思ったけど伸ばした手は利香には届かなかった。
「伸樹も心愛も大っ嫌い!! 最低!!」
利香の目からこぼれおちた涙をわたしは一生忘れない。
教室を飛び出して、廊下を駆け出して行った利香。
追いかけようとしたわたしの腕は清水君に掴まれ身動き出来ない。
「ごめん。 でも俺本気だから……」
抱きしめられた腕から清水君の体温が伝わって来て……
彼の鼓動も彼の息使いもこんなに近くで感じた事が今までなくて……
その瞬間自分の気持ちがはっきりとわかった。


