~ 新年が明け ~


雪が解け、太陽が顔を出した日和の昼下がり。


お昼寝をしていた澄香は、ブランコの揺れる音で目を覚ました。


布団から顔を上げ、
差し込む陽射しに目を細めながら、
寝惚け眼で
園庭のブランコの方を見る。


すると、
見知らぬおばあちゃんがひとり、
子犬をあやしながら、
ブランコに腰をかけていた。


子犬が動く度に
ブランコが揺れ、キーキーと音がしている。


その光景を
園舎の中から暫く見ていた澄香は、
寝惚け眼を擦りながら、ゆっくりと起き上がると、
小さな両手で布団を広げ整えて、一生懸命に布団をふたつ折りにして、
徐に、玄関へと向かった。


靴を履き、
玄関を出て、
ゆっくりと園庭へと
歩いていく。


見知らぬおばあちゃんと子犬のいるブランコの近くまで行くと、
澄香は、
立ち止まった。


そして、
黙ったまま、
おばあちゃんと子犬を
ただじっと、見つめている。