「・・・テルはあんの?」
小声で聞く私。
「・・・あるよ?」
幸せそうに笑うテルに、胸がズキっと痛む。
「恋の魔法にかかると、辛いことの方がいっぱいあんだよ。それが普通なんだよ。何もその青年だけが特別だったわけじゃない。」
「・・・・・。」
テルの手が私の頬にそっと触れる。
「だからおまえが自分を責める必要はない。・・・ないんだよ、美優・・・。」
テルの手の温もりに、涙がにじんでくる。
「・・・じゃあ・・どうして青年は恋を続けたの?」
私の質問にテルは、『ハハ!』っと笑い出す。
「その辛さも一緒に引き受けてしまうほどの魔力があったんじゃねぇの?ほらっ・・何てったって魔法だし?」
テルの言葉に私も思わず笑い出す。
そのはずみで、溜まっていた涙が溢れ出す。

