私は冷静さを取り戻すために、深呼吸をしてベッドの上に座り直す。
「でも・・ある女との出会いが青年と、青年の周りの人間の人生を狂わせ出した・・・。」
私から目を離さないテルの瞳に私の気持ちも揺らぐ。
このまま全部話してしまってもいいのかな・・・。
本当にテルを、巻き込んでしまってもいいの・・・・?
迷いながらも、私は話し続ける。
テルの目が『もう誤魔化すな』って言ってるから・・・。
もう・・そんな状況じゃないんだよね?
私が中途半端に気づかせるような態度、取っちゃったから・・・。
今までだって、何かあるって分かってて・・それでも踏み込まないでいてくれた・・・。
私はその優しさに・・甘えてたの・・・。
「・・青年は迷い込んだ森で美しい魔女に出会ったの。魔女の魔法にかかった青年はそのまま魔女と一晩過ごしてしまう。それが地獄への始まりだとも知らずに・・・。」
一瞬、テルの眉間がギュっとなった。
ついに私の話の意図に気づき始めたんだ・・・。
私の手にも知らず知らず力が入る。
もう引き返せない・・・。
そう。
これはイギリス?みたいな童話でも何でもない。
バカな父親の単なる失敗話・・・。

