オレはギュっと力任せに美優の手を握り締める。
「いたっ・・・」
顔を歪めながら、手を引っ込めようとする美優。
「そんっなにオレとキスするのがイヤかよ!?オレのプリンセスになるのがイヤなのかよ?!」
突然怒鳴りだしたオレに美優は驚いて、らしくなく少し俯いた。
「だって・・・みんなの前で・・・その・・・キスは・・・・」
モジモジと恥ずかしそうに答える美優。
何カッとなってんだ?オレ・・・。
美優が恋愛下手なの知ってんじゃん。
余裕なさすぎだし・・・。
はぁーっと1つ深い深呼吸をするオレ。
「そんなの・・結婚式でも誓いのキスはあるんだぞ?今、まさに結婚しようとしてたのに、何言ってんだよ?」
オレの言葉に美優の顔はドンドン赤くなる。
その姿になんだかオレまで照れくさくなってくる。
「オレとがイヤ・・なんじゃないよな?」
チラッと美優を覗きこむオレ。
小さく頷く美優。
「人前はイヤだけど・・・テル以外はもっとイヤだよ?」
「・・・・。」
ほんとに・・
消えてしまいそうなほど小さな声でささやかれた美優の言葉。
ヤバい・・・。
今なんか・・胸に刺さったかも・・・。
「あぁ~暑い!!ねーちろる?」
「溶けちゃいそーだねー奈々ちゃん!」
お互い顔を赤く染めて黙り込んでしまったオレたちを、水沢とちろるが嬉しそうにからかう。
その言葉に美優は突然機能し出したロボットのように
「なっなぁ~に言ってんのよっ。誰がこんなバカ兄貴っ。」
と喋りながらドーンとオレを跳ね飛ばした。
「いっ・・いってぇ!!」
当然怒って睨みつけたオレを見て、美優は楽しそうに笑い出す。

