「・・・これ・・買えるまでは帰れないと思って・・・。」
照れくさそうに鼻をこするテル。
反対の手でジャケットのポケットから小さい箱を取り出す。
「・・・?何?これ?」
怪訝そうな顔をする私の頭を、隣の席から『バシっ!』と思いっきり奈々が殴りつける。
「いっ?!いったぁーいっ!!」
痛さで涙目になりながら、奈々の方を振り返る私。
今のハンパない殴り方・・・むしろ悪意すら感じたんだけど・・・?
「あんた・・それ、ボケてるつもり?」
奈々の目が怖い・・・。
「・・・何が?」
恐る恐る答える私。
「ハァ~・・・。あんた、自分の立場忘れてない?」
立場?
「立場って?」

