「いや・・悪気があったわけじゃ・・・。」
珍しく弱気な美優。
「分かってるよ。」
美優のおでこをコツンとつつくオレ。
おまえみたいなお嬢さまには理解出来ないだけだろうさ。
こんな庶民の生活はな。
「ばぁちゃーん!!」
オレはばぁちゃんの名を呼びながら、美優の手を掴んでズカズカと家に入り込んだ。
「ちょ・・・やめっ・・・。」
とまどう美優なんかお構いなし。
「・・・テルくん?」
少し驚きながらも笑顔で迎えてくれたばぁちゃんに、オレは美優を紹介した。
「ばぁちゃん。この人が・・・。」
「おまえさんの妹かね?はじめまして。何もないとこだけど、ゆっくりしてって下さい。」
シワだらけの顔で笑うばぁちゃん。
ばぁちゃんとは父さんが死んでからも連絡を取っていた。
再婚話も当然母さんから聞かされていたんだろう。
「はい。・・・ありがとうごさいます。」
普段の悪魔っぷりからは考えられないような、天使の微笑みを見せる美優。

