「ここ・・・何?」
ただオレに引っ張られて来た美優は、目の前の古い家に唖然とする。
「ん?父さんの実家。」
オレの言葉に美優はハッとしたかのように、顔を向けた。
「テルのお父さんって・・・。」
その不安そうな表情に、オレは美優の頭にポンポンと触れる。
「オレが小さい頃に死んだ。元々体強くなかったから。」
「そう・・なんだ・・・。」
儚げに呟く美優。
美優の両親は離婚した。
美優は自分とは少し違う境遇に、戸惑っているようにも見えた。
そーいやぁこんな話、したことなかったな・・・。
家を見上げるオレ。
「父さんが亡くなるまではここに住んでたんだけどさ、今はたぶん・・ばぁちゃん1人かな?」
「え?!ここ、人住んでんの?」
かなり失礼な美優の発言。
「・・・住めるよ。」
横目で睨むオレに気づき、美優は慌てて両手で口を塞ぐ。

