「ゆ、由希大丈夫?なんか今飛んできた……」

後頭部を押さえている由希に近づいた。なんかその姿が可愛くて珍しかった。

って、こんなことを思ってちゃダメだよね。由希はこんなにも痛がってるのに……。

でも一体誰が……?


由希は佳奈の足元にあるペットボトルを手に取って後ろを振り返った。なんだかもう犯人が分かってるみたい。


「加藤くんジュースおごって」


校門にいた他校の生徒の一人が言った。

背が小さくてすごく小柄な女の子。黒髪であまり化粧をしていない。佳奈から見れば少し地味な子だった。

加藤くんって……由希のこと?
由希の名字は冴木だよ?


「てめえ……」

由希はそんなことを全然気にせずに女の子に向かっていった。


佳奈は気づいた。

この二人には二人しか知らないことがあって、佳奈なんか由希に喋ってもらえるだけで嬉しいのに、どんな形でも由希から女の子に近づいていった。


きっと、由希の頭の中にいた女はこの子だと思った。

確信はないけど絶対そうだと思う。


今日の佳奈の予想は当たるの。

だから絶対、絶対にそうだ。