シロの友人に、おデブのアメリカン・
ショートヘアがいる。

量った者はいないのだが、あんた体重が
10キロ近くあるんじゃないの?と思わ
せる丸々とした、黒に茶色の縞模様を
したオスネコだ。

シロがよく行く緑の多い中規模の公園に、
20匹くらい住んでいるノラネコの内の
一匹で、たいていは公園の東側にある
小さな池の近くで、気楽そうにゴロゴロ
している。


ある日のお昼ごろ、誰かに缶詰をもらお
うと思って公園に行ったシロは、初めて
見るアビシニアンの女の子が、

「デイブ、おいしい?」

とニコニコしながら、そのデブネコに
缶詰をやっているのを見た。

デブネコは本名は「エスターク・ロード
チェロ」というのだが、そんなことは
知るよしもないその女の子は、デブなの
で「デイブ」と安易なネーミングをして
いるようだ。
近くの大学に通っている女子大生か何か
だろう。

そこにニャーと鳴いて入っていったシロ
は、女の子に

「キャー、シロネコー、かわいいー!」

と歓迎されたが、女の子はもう缶詰を
持っていなかったらしく、何ももらえな
かった。