小さな恋【完結】

あたしは一体何を望んでいるんだろう……?


大知にあんな悲しそうな目をさせたのは、あたしなのに。


こんなことを先輩に聞くなんて、どうかしてる。



「でも、もしそんな気持ちになってるんだとしたら……」


一哉先輩はそこで言葉を切ると、あたしをジッと見つめた。


「まだ相手のことが好きってことだと思うよ」



まだ……好き?


先輩の言葉にエコーがかかっているみたい。


その言葉を頭が理解しようとしてくれない。



「で、それはいったい誰の話?」


「……いえ、何となく聞きたくなって……」


作り笑いを浮かべながら先輩から顔を反らす。


体操座りしている膝の上に顔を埋めると、何故か大知の顔が目に浮かんだ。