小さな恋【完結】

昼休みになっても、憂鬱な気持ちは続いていた。


休み時間の度に繭ちゃんがあたしの席にやってきて、大知のことを聞きたがったせいもある。



目の前には大好きな一哉先輩がいるのに、大知と繭ちゃんのことばかり考えていた。



「やっぱり二人でいたいのかもな」


いつものように屋上で先輩とお昼を食べていた時。


一哉先輩は空を見上げながらポツリと呟いた。


風に揺れた茶色い髪に視線を移す。


「りっちゃんは高1でケンが高3。1年しか一緒にいられないもんな。二人っきりの学校生活を満喫した気持ちも分かるよなぁ」


先輩がこんなことを言いだしたキッカケはケンちゃんにある。


「弁当忘れたから里奈と食堂行ってくる」


「弁当だけじゃ足りないからパンも買ってくる。里奈、付き合って?」


最近のケンちゃんは露骨すぎるほど、あたしと先輩をくっつけたがる。


さすがのりっちゃんも「ケンちゃん、やりすぎだから」と苦笑いを浮かべていた。