「真依子……聞いてる?」 「あっ……ごめん」 大知の声でハッと我に返ると、大知はハァと息を吐いた。 「ごめん。俺にはもうそんなこと聞く権利ねぇよな」 大知の瞳が一瞬揺れた気がして、胸が締め付けられる。 「もう聞かないから、そんな困った顔すんなって」 大知はあたしの頭をポンポンッと叩いて、優しく微笑む。 何故か熱いものが胸に込み上げて、鼻の奥がツーンッと痛む。 慌てて空を見上げたあたし。 それにつられて、大知も同じ空を見上げた。