先輩の小さな癖を見つけた。 一哉先輩は照れると髪をいじる。 「あ、そうそう!さっき、大知(だいち)が真依子のこと探してたよ?」 突然、パンっと手を叩いてあたしに視線を向けたりっちゃん。 ……えっ? 大知が……あたしを……――? その名前を聞いた途端、心臓がバクバクと激しく暴れ出す。 「大知が……あたしに何の用だろ?」 「ん~分かんないけど、急ぎだったみたい」 「……そっか。後で聞いてみるね」 自然と顔が強張るのを感じて、無理矢理口元を引きあげる。