その時、ふと一哉先輩の笑顔がある人物に被った。
それは、中学2年の蒸し暑い夏の日。
あの日も、今日と同じように良く晴れていた。
「……――俺と付き合って?」
同じクラスの男の子は少しだけ照れ臭そうにそう言った。
あたしの中での男の子の位置づけは、仲の良い友達。
冗談を言い合うことも出来るし、気軽に相談もできた。
女友達と男友達を分け隔てて考えたことなんて、一度もなかった。
ただ、一緒にいると楽しくて。
一緒にいると心が安らいで。
今考えると、それはきっととても安易な考えだったけど、あたしは彼と付き合うことに決めた。



