小さな恋【完結】


「そっか。それならよかった」


表情を緩めた先輩は「先に食べようか」と言って、コンビニ袋の中からおにぎりを取り出して口に運んだ。


そんな一連の動作すらあたしの目には眩しいほどに輝いて見えて。


「ん?どうした?」


「あっ、ごめんなさい!!」


至近距離でジッと見つめられちゃ、先輩だって困るよね。


「なんかさ……――」


先輩は不思議そうにあたしの顔を覗き込む。


瞳にほんの少しの好奇心を滲ませて。



「真依子ちゃんって、天然?」


「へ?」


「ボーっとしてること多いよね?」


「いえ、天然なんかじゃないです!まったく違いますから!」


あたしが首を振って全面的に否定すると、先輩はクスッと笑いながら再び形の良いおにぎりを口に運んだ