大知と繭ちゃんは相変わらず仲良くやっているらしい。


休み時間、大知が繭ちゃんの席でお喋りをしていた。


その度にあたしは二人の姿を見てショックを受ける。



「ねぇ、大知〜あのさぁ…――」


大知の顔を覗いている繭ちゃん。


いつの間にか呼び方が『大知』に変わっていて。


大知も繭ちゃんを『繭』って呼んだりするのかな?


あたしのことを『真依子』と呼んでくれたように。


低くて少しだけ掠れたその声で……。


繭ちゃんの楽しそうな笑い声が耳に届いて胸が張り裂けそうになるのを堪えるのが、日課になりつつある。


あたしはすぐに二人から目を反らした。


「……あたし、見てるだけでいい」


「え?」


「あたし、大知を見てるだけでいいの。繭ちゃんから奪おうなんて考えてない」