小さな恋【完結】

公園のベンチに腰掛けると、一哉はポケットの中から取り出した煙草に火をつけた。


煙はふわふわと空に浮かび、静かに流れていく。


「一哉……、さっきの人って……」


「元カノ。中学の時、ずっと付き合ってた」


動揺が煙草を持つ手を震わせているようだ。


一哉はおでこに手の平を当ててぼんやりと足元に視線を向けた。


「ねぇ、一哉。全部話してくれない?あの人も、マイコっていうんでしょ?それって、ただの偶然なの?」


「……いや、違う。偶然なんかじゃない」


「話して……くれる?」


「あぁ」


一哉は小さく頷くと、静かに話し始めた。