小さな恋【完結】

女の人と一哉の間に漂うピリピリとした空気。


そんな空気に入り込めるわけもなく、あたしはただ呆然と立ち尽くす。


「……俺は……ずっとマイコが……――!!」


一哉はそこまで言い掛けると、悔しそうにギュッと唇を噛み締めた。



そっか。その時……ようやく思い出した。


一哉がどこか寂しそうな目をしていたときのことを。


あれは、りっちゃんとケンちゃんを含めた4人でファミレスに行った帰り道。


『彼女と喧嘩したことないんですか……?』


あたしがそう尋ねると、一哉はこう答えた。


『一度もない。もし喧嘩できてたとしたら、別れなかったかもしれない』って。