小さな恋【完結】

「……ん?呼んだ?」


そう聞き返したけれど、一哉の視線の先にいるのはあたしじゃない。


一哉は歩行者天国になった道路の方向を見つめている。



まいこ。


だけど、一哉があたしの名前を呼んだのは確かで。


一哉はいまだに一点をぼんやりと見つめている。


酷く悲しそうな表情で。